闘い続ける 前・衆議院議員田中けいしゅう

国政リポートNo.612
2012年6月4日

 

      「原子力の安全再稼動」「社会保障・税の一体改革」に十分な危機意識を


          「日本の危機 結束こそが必要」




●安全への危機意識が第一

 原子力発電所事故から1年3ヶ月が経ちました。原子力の安全性について、真剣に議論していかなければなりませんが、私は、経済産業省の中に原子力を推進する立場とチェックする立場が混在することの矛盾を10年以上も前から指摘してきました。今回ようやく、これを改める原子力規制庁設置法案が提出され、衆議院で審議入りしました。
 これと併せるように原子力発電所事故調査委員会が開かれて、当時の総理、官房長官、各政府関係者からの参考人聴取が行われています。積極的に聴取して問題点を明らかにし二度と事故が起きないようにしていかなければなりません。規制庁をつくるにあたっても、世界が原子力に対する見方と安全性についてどのような手法を用いているか、しっかりと調査をして今回の設置法案を審議していく必要があると感じています。
 再稼働については、電力需要が高まる夏場を前に第三者による厳格なチェックによって十分に安全性が保たれて初めて再稼働が許されるものです。私たちは3・11から様々な教訓を学ばなければならないはずが、戦後の平和ボケで政府も議員も危機意識について安易になってきているように感じてなりません。
 私の故郷であり、自然豊かな福島をはじめ、震災に見舞われた人たちの苦労を思うと、住む家も、耕す田畑も、そして漁港と漁船を失ってもなお、復興に力強く取り組んでいる人たちへの支援を惜しまぬ思いでいっぱいです。国会では被災地の産業振興策、復興財源の確保など関係省庁に対する要望の取りまとめを継続して行い、また私の選挙区横浜では若手有志が中心となり、被災地に漁船を贈る動きが超党派議員のバックアップによって実現間近となるなど、復興活動が活発化しています。日本の元気を取り戻すために、世界中の技術とノウハウを被災地に結集し、新たな原子力行政と危機管理体制のもと、日本再生に取り組んでいくことが必要になっているのです。

 

● 少子高齢社会に危機感を

 社会保障と税の一体改革についての審議が衆議院特別委員会で行われています。この問題では昨年暮れ、遅くまで党の議論を積み重ねてきました。今年3月の閣議決定前に、私は消費増税関連法案に対し、慎重に進める会の責任者として議論を進め、この中で「高齢社会、人口減少、少子化対策など日本がおかれた立場から、一体改革は避けては通れない問題であり、党内の一本化が必要」と主張してきました。野田総理が命をかけて推進する考えと、小沢元代表が政権交代を果たす突破口となった国民との約束を実行に移していかなければならないとする考えと、目指す方向は一致していると思います。
 社会保障と税の一体改革を通すために、自民党の年金政策など関連法案を丸呑みするようなことがいわれていますが、消費増税関連法案の成立を図るために社会保障が積み残されてはどうにもなりません。私たち民主党自身が党内の考えをまとめ、結束して審議にあたる必要性を強く感じています。そのために、私は総理、小沢、輿石の三者会談の場を設けるよう申し入れを行い、実現させることができました。両者の主張には温度差が感じられますが、国家国民の立場に立った問題としてとらえ、会談を継続し、危機意識をもって何とか考えをまとめあげて欲しいとの思いでいっぱいです。内閣改造を行いましたが党内の結束、ぶれない政策の一本化こそが行政をリードすることにつながっていくのは間違いないのです。
 政策を役所に丸投げし、結果的に役所の言いなりになってしまう、従来の自民党政治には後戻りできません。世界の流れ、時代の変化に対応していくためにも、今の日本の政治に欠如している危機意識を取り戻していかなければならないのです。
 世界から信頼される政治を確立する意味からも社会保障と税の一体改革は重要であり、世界もこの動きを注視しています。ヨーロッパで再燃の通貨危機、そして円高、デフレ対策の突破口を見いだすためにも政治の信頼と政策の実行を確かなものにしていかなければなりません。