闘い続ける 前・衆議院議員田中けいしゅう

国政リポートNo.607
2012年3月26日

 

              「日本を再生軌道に」


  衆議院では平成24年度の予算案が通過。早期の予算執行が必要で、経済状況の厳しい中、景気対策を最優先にしていかなければなりません。為替も一時、1ドル83円台をつけていますが、90円台程度にもっていかなければモノづくりや輸出産業のダメージは厳しいまま。日本を再生軌道に乗せる予算と施策の強化が必要です。

 

● 企業が留まる税制と成長戦略の加速を

オバマ大統領は国際情勢やEU、自国の状況などをふまえて法人税の10%減税を打ちだして、アメリカ経済は少しずつ上向きはじめています。税制面でみると、逆に日本の法人税は世界各国と比較しても高いのが現状です。厳しい財政事情を抱える我が国ですが、世界間との税のバランスをどのようにしていくかを考えていかなければなりません。
 高い法人税率と円高によって電機、自動車産業など、基幹産業の海外流出が止まらない状況が続き、関連する下請、孫請けの中小零細企業も海外へとシフトを速め、国内の雇用は益々厳しくなってしまいます。大切なことは日本企業が国内に留まりながら国際競争力をつけ、強みを発揮できる体制を政治が整えていくことです。
 日本の税収は年度予算の約半分しかありません。この穴埋めとして、今まで赤字国債に頼る予算編成が自民党政権下で続けられ、膨大な借金を膨らませることになってしまいました。これを解決していくひとつの施策が私たち民主党の掲げる5つの成長戦略なのです。
(1)エネルギー、自然環境などを推進する「グリーン・イノベーション」。
(2)生活、健康、医療などに関する「ライフ・イノベーション」。
(3)知的財産、人材、インフラの海外進出などの「アジア経済戦略」。
(4)国際戦略港湾政策、観光誘致などを進める「観光・地域活性化」。
 さらに地域における経済活動の推進と国際競争力強化のための規制緩和、優遇税制を含む「総合特区戦略」が5番目に含まれています。この中で、特に私は日本再生のために円高、デフレ対策として特区のさらなる対象地域の拡大、実施時期前倒しの必要性を提言しているところです。
 今後、日本の人口が減少を続ければ、結果的に消費が細って経済へのプラス効果を国外に依存しなければならなくなります。貿易の自由化は世界の流れになって、日本が生き残るためにはFTA、EPA、TPP協定など、国益を守りながらも国内産業が力を発揮できる環境づくりを政治の責任で進めていかなければならないのです。
 

 

●「社会保障と税」 条件充たし成立を

 長寿は喜ばしいことですが、少子化と高齢化によって60歳以上の人口が4分の1を占めるまでになっています。これから先、年金・医療・介護の充実は不可避であり、そのための年金の一元化も進めていかなければなりません。特に低所得者への配慮、加入期間の短縮、パートの人たちへの年金加入条件の見直しなど大切な課題が掲げられ、老後の安心を確かなものにするための社会保障制度につなげていくことです。
 年金・医療・介護の保険料や税の徴収漏れがないように国税庁と日本年金機構を統合する歳入庁の創設。さらには社会保障と税に関する共通番号を付すマイナンバー制度の導入も、実現に向けての動きを加速させていきます。
 財政再建と合わせて「社会保障と税の一体改革」を導きだす党内の事前協議が、連日連夜遅くまで続けられています。消費増税だけが論点となっているように報道されていますが、名目3%、実質2%の経済成長、公務員の給与削減、国会議員の定数削減と歳費の削減を同時進行させ、これらの条件を充たした上で、「社会保障と税の一体改革」を今国会で成立させていかなければと思っています。
 一方、少子化対策も大切です。政争の具にしてはいけないと言いながら「子ども手当」を「児童手当」に戻す法案が衆議院で可決しました。「子ども」の文言を使わずに以前の「児童」に名前を戻せと、こんなことに固辞する自民党。名前をどうするより、子を産み育てやすい育児環境をつくりだす少子化対策こそが次代を担う若者たちからは求められているのです。