闘い続ける 前・衆議院議員田中けいしゅう

国政リポートNo.606
2012年3月12日

 

      「大震災から1周年 被災地復興に弾みを」



 東日本大震災から1年が経ちました。現在までに震災による死者は1万5854人(警察庁調べ・3月10日現在)、行方不明を合わせると約1万9000人が犠牲となっています。
 有事の際の危機管理について常々言われてきたことですが、かつて私たちが経験したことのない巨大地震によって、津波、そして東京電力福島第一原子力発電所事故の発生で、危機管理が如何に大切かを思い知らされました。国民の生命・財産を守ることを第一に考えると、危険と隣りあわせの原子力発電の安全対策に甘さがあったことは明らかです。
 アメリカ、フランスでは事故は起きるものとの前提で原子力発電の安全対策をとっています。ところが日本の場合は事故は起きないもの、安全であるとの前提で危機管理を怠ってきてしまったのです。この結果、3・11の複合災害では世界でも稀に見る大惨事へとつながってしまいました。
 1年経った今でも、被災地の会社再建、雇用不安など、生活環境は改善されていません。また、宮城、岩手の汚染されていないがれき処理も風評被害などによって受け入れ先が見つからず、復興の妨げになる新たな問題が生じ、政治の意志決定や行政の対応遅れなどが浮き彫りになっています。「明日は我が身」の考えをもって、お互い助け合う気持ち、理解ある対応をお願いしていかなければならないと思います。
 1日も早い復興は政治に課せられた最大の責務です。「早く故郷に戻りたい」との思いで復興を願っている地元の人たちのために、遅ればせながら復興庁がスターラインにつきました。迅速な作業に欠かせないのがワンストップサービスです。あらゆる省庁の垣根をのり越え、また各町長を中心とした現場最優先の取り組みこそが第一に求められています。これからは復興支援作業に拍車がかかるように、関係各方面には早急な対応を促していきます。

 

●暮らし、経済活力に必要な電力安定供給

 今月27日には、すべての原子力発電所が停止となります。代替エネルギーとして「1日も早く再生可能エネルギーを」との声は日を追って強くなっていますが、10年以上の歳月を要するのは確実で、現在は総発電量の1%にも充たないのが現実です。7月1日からは再生可能エネルギーを電力会社が全量買取る制度が始まりますが、これは微々たるもの。エネルギーの安定供給を考えれば原子力発電所の安全性を最優先に、ストレステスト(耐性検査)をした上で、如何に再稼働に結びつけていくかが現実問題となってきます。
 電気料金の値上げが言われていますが、原子力を火力に依存すれば、化石燃料を輸入に頼る資源の乏しい日本にとって、昭和48年のオイルショック時と同様、暮らしも経済も混乱状態に陥ることが予想されます。また、電力不足は企業の存続にも影響し国内の雇用問題にも深く関係してきます。このことからも、原子力発電は過渡的エネルギーとして早期の再稼働が必要になってくると思います。

 

●復興、景気回復への来年度予算案可決

 90兆3300億円余の2012年度予算案が衆院で可決しました。まず為替レートを1ドル90円程度にもっていくことです。そして経済成長率を閣議決定した名目3%、実質で2%を確実なものにしてデフレ克服につなげ、低成長からの脱却を図ります。
 新成長戦略の特区構想を十分にいかして医療、介護など生活面に直結するライフ・イノベーションの展開で約10兆円規模の経済効果と36万人の雇用創出につなげていきます。
 また、自然、森林、河川、そしてエネルギーなどの新規環境政策のグリーン・イノベーションでは、複数年度で約50兆円の経済効果と140万人の雇用創出が可能となっていきます。
 派遣労働者の保護を目的の労働者派遣法改正案も衆院を通過し、約1200万人の弱い立場の派遣労働者の待遇改善が図られ、失業対策と正規雇用問題につながっていきます。
 「予算案の1日も早い成立によって東日本の復興を加速し、日本の再生を確かなものにしていきたい」、震災1周年に強く願っています。