闘い続ける 前・衆議院議員田中けいしゅう

国政リポートNo.597
2011年11月7日

 

           「復興、円高、TPPに挑む」




●予算の早期成立を

 国会では復興、経済対策の第3次補正予算案の審議が始まりました。震災救助、がれき処分、道路・港湾・鉄道などのインフラ整備、地方交付金、災害復興交付金、原子力災害復興関係費などが盛り込まれています。本当の意味の復興はこれからです。そのような折り、東日本大震災についての正しい報道が少なくなっているように思えるのです。
 震災から8ヶ月、被災地では厳しい冬を迎えます。12兆1千億円余の補正と関連法案を一刻も早く通すことが復興には必要になっています。野党も早期に補正を、と言いながら具体的議論になると財源はどうすると言いだしています。日本がどうなるのか、今は予算案の成立を政局に絡めずに与野党が協力して進めなければならないのです。
 がれき処分も仕分けをしないと処理できないほど大変な作業です。東京都のがれき受け入れで安全性の面で反対の声がでていますが、宮城、岩手のがれきは放射能に汚染されていません。一つ一つ問題を解決していかなければならない時に、報道も少なくなり真実が伝わりにくくなっています。もっと現場の声を正しく伝えて欲しいと思います。
 私も防護服をきて実家のある浪江に入り、現状をつぶさに視察。復興への兆しを見せ始めているとは言え厳しい状態です。地方が使いやすい地方交付税交付金を約1兆6700億円、道路等のインフラ整備に約1兆4700億円、震災復興交付金にも約1兆5600億円を計上し、国会でも陳情対応本部の責任者の一人として、被災地からの陳情を政府につないでいるところです。
 先日も、既に予算づけしてある放射線の定期的監視測定装置、モニタリングポストの設置が遅れているとの指摘に早期の対応を政府に要請しています。
 震災で東日本が自動車、電機、電子製品など、我が国のモノづくり産業の集積地であることが改めてわかりました。中小企業への対応も二重ローンの問題だけでなく資金の安定供給が図れるよう予算づけしています。現場の要望にいかに応えるか、復興の正否に日本経済の再生がかかっているのです。

 

●金融も農政問題も 前向きな対応を

 ギリシャ発の欧州金融危機は直ぐにも解決していかなければ、単にギリシャ問題だけでなく、日本もアメリカも世界経済がその渦に巻き込まれてしまいます。金融問題は一国のものではなくなっています。野田総理が出席してフランスで行なわれたG20サミットで、ギリシャ発の金融危機収束に向けて首脳宣言が採択されましたが、信用不安をこれ以上拡大させてはなりません。我が国としては景気回復に悪影響を及ぼす円高に対して、確固たる姿勢と欧米との連携が必要になってきています。
APEC(アジア太平洋経済協力会議)の開催を前に、マスコミではTPP(環太平洋パートナーシップ協定)への参加問題ばかりを取り上げていますが、交渉には21分野があり、個々に分析し歴史、文化を含めて考えていかなければならないと思います。例えば、物品の関税分野に含まれる農業問題では、専業農家は5%程度、あとは兼業農家で食料自給率も40%と先進国の中で最低です。このままで食料安保が保てるのか、農家の平均所得が200万円に充たず平均年齢も67歳と高齢を迎え農業を続けていくことができるのか、TPPへの参加問題とは別に今後の農業を考えていかなければならないのです。
 今、中国では日本の旨くて安全な米を求めています。秋葉原で中国を含め外国人観光客が炊飯器を買い求めるのもその証です。また、日本のステーキ、すき焼きは世界一旨いと大評判です。見ためも味も素晴らしいリンゴ、甲州や岡山のぶどうの味も世界中どこを探しても見当たりません。いいものを国がどんどん世界に宣伝し、競争していけば絶対に負けることはないのです。
 簡単なことではありませんが農業の技術、システム改革を進め、法人化の導入などによって農業に対する所得倍増計画を打ちだしていくことも可能になってくると思います。
 かつて日本は繊維でも自動車でも今回と同じような状況に遭遇しています。私たちはその都度、知恵と努力によって見事に窮地を乗り越えてきました。金融も物流もグローバル化が当たり前になった今、一国主義では世界の中で生きていくことはできないのです。  TPPへの参加は慎重の上にも前向きな議論が必要で、国益に叶う主張を続けていくことが大切だと思っています。