闘い続ける 前・衆議院議員田中けいしゅう

国政リポートNo.590
2011年8月1日

 

            放っておけない円高対策


 福島第1原子力発電所事故で日本の原子力政策が見直されようとしています。私は脱・原子力発電ではなく、国際社会に信頼されるためにも事故の早期収束と、国民が納得できる原子力発電のあり方を明確にした上で、原子力は過渡的エネルギーとして再生可能エネルギーと共存しながら、新たなエネルギー政策に対応していかなくてはならないと思っています。
 原子力問題を契機に電力価格の値上げがいわれています。さらにはアメリカのデフォルト問題が1ドル76円台(7月29日現在)まで上昇し円高がとまらない状態です。モノづくりが基盤の日本経済にとって電力不足とコストの上昇、円高による国際競争力の低下はまさに深刻です。特に東北の被災地は基盤産業の集積地。震災復興で生産拠点が海外移転するようなことだけは避けなければなりません。空洞化をおこさない政治判断と産業政策が必要なのです。
 委員長を務める衆院経済産業委員会では、再生可能エネルギー法案が審議されていますが、今週は財務金融委員会との合同審査で、放ってはおけない円高問題に対応していきます。

 

●欧州の電力事情を調査

 延長国会の重要課題である再生可能エネルギー法案。この法案は原子力の代替エネルギーとして太陽光や風力、バイオ、地熱、小さな規模の水力発電などの再生可能エネルギーを普及させるために、電力を発電側に固定価格で買い取ることを定め、2012年からのスタートをめざそうとするものです。
 審議に先立ち、自民党・野党の強い要請により7月15日から20日まで、急きょ、超党派による調査団を結成。団長として原子力発電と再生可能エネルギーの先進国、フランス、スペイン、ドイツを公式訪問。欧州の電力事情をつぶさに調査してきました。

 

●海外の動きを把握

 私たち調査団はフランスに到着後、欧州の再生可能エネルギーについての詳細な説明を受け、フランスの買取価格の改定方法、制度導入時の価格決定、住宅や事業用の価格設定、また、買取価格がフランスは政省令で、そしてドイツは条文に明記していること。また、スペイン、ドイツは電力自由化で競争力の点から単純にコストアップは困難な状況にある、などの説明を受けました。
 福島第1原子力発電所事故で汚染水の浄化設備の提供を受けたアレバ社との意見交換では、原子力に対して、「日本は重要なパートナー、事故への支援は当然である」としながら、「フランスの原子力発電の選択はエネルギーの安定性を重視した結果であり、地球環境など、今後のエネルギー施策を考える上で原子力は唯一の解決法ではないが、原子力なしでの解決法もありえない。引き続き必要なエネルギー源である」との明確な考えが示されました。

  

●浮き彫りになる問題点

 また、世界の再生可能エネルギーの動きについても、米国はエネルギー政策が明確ではないこと。スペインは再生可能エネルギーでは成功したが、経済は困難な状態になったと分析。しかし、買取制度を比較的早くに導入したスペインのエネルギー長官は「政治的賭けをしたともいえるが」とした上で、世界が制度導入に向かう現状に、「判断は間違っていなかった」と断言しています。
 ドイツは脱・原子力発電に舵を切ったものの、将来はわからないこと。当面は化石燃料の需要増でCO2排出による環境問題が浮上し、そして再生可能エネルギーへの投資状況の如何によっては、国内産業や経済が衰退する可能性もありえるのではとの分析も示されました。
 フランスにおいては再生可能エネルギーの導入が拡大するだろうが、不安定性を支える基本的な電源として原子力の位置づけが確立することになるだろうなど、詳細な説明を受けることで各国の諸事情がわかってきました。
 ドイツ環境省との意見交換では買取価格の設定、価格の安定化、条文化の功罪点などが話され、また、ドイツ経済振興公社との質疑で、導入にかかるコストを支払う国民や中小企業にとって、多少多めに電気料金を支払っても再生可能エネルギーが伸びる方がよいと考えていることなどの説明も受けました。
 どれも問題点を示唆する貴重な意見であり、日本のエネルギー政策に如何に活かしていくか。また新たなエネルギー政策の導入が新規雇用につながる可能性にも言及した欧州調査となりました。