闘い続ける 前・衆議院議員田中けいしゅう

国政リポートNo.587
2011年6月20日

 

              復興の足取り早めよ


 17日、国会の経産委員会委員長室にドイツのトリティーン連邦議会議員、(連邦環境・自然保護、原子力安全大臣1998〜2005年)の訪問を受け、大震災による地震、津波、風評被害、そして環境問題などを話しあい、特に福島原発事故については将来、原子力に替わるべき新エネルギーに対して意見交換を行いました。

 東日本大震災から100日が経過しました。震災後、日本経済は直接、間接的、あるいは風評被害によって萎縮ムードが社会全体にまん延し、厳しい状況下に落ち込んでしまって企業倒産も深刻になっています。
 震災からの本格的な復興をめざす復興基本法が成立しました。それに伴う4兆153億円の第1次補正が決まっていますがこれだけでは不十分です。経済的損失は阪神淡路大震災の10兆円をはるかに超えて16兆〜25兆円と見込まれ、回復軌道に乗せるには更なる補正が必要になります。そして福島原発事故による住民への適切な手立てを加速していかなければなりません。また、神奈川と静岡の茶葉から基準値を上回る放射性物質が検出されました。事故周辺地域以外からの検出は、日本国内に広範囲に及ぶ懸念問題として今後も注視していかなければなりません。

 

●地域の元気を引きだせ

 復興にあたっては、いかに被災した地域の活力を引きだしていくかが課題です。とはいいながら地場産業の農業、水産業の再建に欠かせないガレキの撤去は思うほど進んでいません。ガレキでは一般廃棄物、産業廃棄物など、取り扱いで区別される規制の枠を超えた超法規的な取り組みと、いつまでにやるかを決めて作業を進める必要があります。土地私有権の制限、特例法の運用も視野に入れた対応が必要になってくると思います。
 特に中小企業ものづくりは厳しい状況におかれています。本格的復帰を前に仮設事業所、仮設工場を1〜2ヶ月の間で整備し、速やかな事業再開によって地域の雇用確保を図り、職住接近を含めた国のきめ細やかな支援策が必要になっています。
 福島原発の30キロ圏内にはものづくり企業の生産拠点が約700社あります。震災でサプライチェーン(生産網)が分断され、部品調達に影響がでてしまいました。今後、これをさけるため海外移転の加速が心配されています。中国、韓国などは法人優遇税制によって積極的な企業誘致を働きかけています。ところが、国はしっかりした方針を示していないところに問題があります。産業の空洞化を防ぐために税制特区、資金繰り、雇用をあわせた総合的な対策を講じていかなければならないと思います。

 

●復興に欠かせない返済凍結

 中小、個人企業は設備投資、運転資金など、金融機関からの融資を抱えたままの状況で被災しています。返済は一時凍結をしてでも新たに設備投資ができる環境づくりが必要です。一般の住宅についても壊れた家のローン返済は一時凍結をして新たな融資を行っていくなど、二重ローンで負担を強いられることがないよう、明確な支援策を打ち出していくことが復興には欠かせなくなっています。

  

●原発政策は根本的な検討を

 福島原発1、2号機はアメリカの技術、3号機はフランスの技術で造られました。これによて情報公開が十分でなかったこともわかりました。日本にある54基の原発のなかで、定期検査などで、いま稼働しているのが17基です。これが再稼働しなくなれば国民生活、日本経済に深刻な影響がでてきてしまいます。
 原子力が新エネルギーに置き替わるまでの間、一時的かつ補助的役割として化石燃料に頼りながらも、将来的には再生可能な太陽光、風力、バイオなど、自然エネルギー開発を進めていかなければならないと思います。
 IAEA(国際原子力機関)総会の開催で、世界中が福島原発事故の対応に注目しています。自民党政権時代に造り上げた原発について、事故はないものと損害保険にも入らず安全を全面的に打ち出してきました。しかし、今回の事故で安全神話が崩れた以上、保険も含めて根本的な検討が必要になっています。一日も早く収束の目処がたつよう、国会議員としての仕事に全力で取り組んでいきます。