闘い続ける 前・衆議院議員田中けいしゅう

国政リポートNo.578
2011年2月14日

 

          予算案成立こそ最大の景気対策


 日本はデフレ、円高による景気低迷から抜け出せないでいます。このようなとき、国会で大切なのは論議の場を政局絡みではなく、もっと国民目線の場にしていくことです。そして、政治の責任で、1日も早く来年度予算案を成立させ、危機的状況下におかれた日本経済を立ち直らせていかなければなりません。
 自民党政権下でおこったリーマンショック。その発信源、アメリカでは決定的な景気後退を招かないためにと、中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)が金利ゼロ政策や赤字国債を大量に発行し、アメリカ議会が一丸となって米国経済の混乱を必死に防いできました。当初、サブプライムローンが破綻状態となったとき、私たちは危機感をもち、早急に対策を講じるべきとの提言に、当時の政府・自民党は「対岸の火事」、「蚊に刺されたようなもの」と、楽観視してきました。ところが心配した通り世界経済に影響が及び、巡り巡って日本はアメリカ以上の打撃を受け、30%近い景気後退となって、未だにリーマンショックから抜け出せないでいるのです。

 

●日本をダメにする政局絡みの国会運営

 先進国では日本だけがデフレ経済を続けています。私たちはリーマンショックから抜け出すために、デフレ、円高克服を考慮に入れた92兆4116億円の来年度予算案を今国会に提出しました。今、衆議院予算委員会で審議されています。
 この予算案の約17%は自民党政権時代に膨らんだ赤字国債の利払いに充てられることになりますが、私たちは具体的に地方主権を進めていくうえで、時代の先取りとも言うべき地域活性化のための一括交付金の支給など、かつての自民党政権では口先だけで実現できなかった予算案になっています。
 21%が地方に対する一括交付金や補助金の予算割合となっていますが、予算案が年度内に通らないと地方経済に影響が及び、国民生活に多大なダメージがでてしまいます。
 赤字国債を発行するための特例公債法も通らず、埋蔵金2兆5000億円の一般会計への繰り入れもできなくなると、40・7兆円の歳入不足に陥って、景気刺激、雇用対策がマイナスとなることは確実です。
 また、関税定率法も通らないと、400品目以上ある輸入品にかかる軽減税率の延長がなくなり、結果として牛肉など食料品の値上がりとなって、家計を圧迫することにつながってしまいます。
 税制関連法でも、住宅取得にかかる登録免許税の軽減措置の2年間延長ができなくなり、中古住宅の購入でも負担増になってしまいます。
 中学生以下に支給される子ども手当もなくなってしまいます。
 この子ども手当。バラマキと言われますが、子育て中の95%の皆さんからは感謝の声が寄せられています。子育て、教育など、今まで行われてこなかった部分まで大胆に切り込むことで、これまでと違った本腰を入れた少子化対策になっているのです。
 高校の授業料や教科書の無償化については、中学校の進路指導の先生方からも、このことによって進学率がアップしたと打ち明けられました。
 自民党野党が声を揃えて愚策と批判し、政局がらみにしてしまった子ども手当。マスコミも「バラマキだ」と、必要以上にムダをあおることで、効果よりもマイナス面だけが強調されてしまっているのは残念です。
 子ども手当ては賛否両論があるにしても、国民の多くが少子化対策に役立つと理解していることは事実です。このような来年度予算案を政局絡みにすべきではありません。国民の暮らしを人質にとるような国会運営だけは絶対に許されません。予算と政局は分けて考えていくべきです。
 私は政局を絡めずに、「国民の暮らしを大切に」、「職場を大切に」、「命を大切に」、この考えを第一に、これからの国会運営に臨んでいきます。