闘い続ける 前・衆議院議員田中けいしゅう

国政リポートNo.542
2009年10月13日

 

      官僚依存の補正予算、 ムダ削減で国の姿を変える



 民主党の掲げた公約が政権交代によって動き始めました。野党の時と違い、与党となった今、私たちには政権政党としての責任があります。議員個人の考え方はあってもいいでしょう。しかし、党全体として国のことを考えていかなければならない立場にあります。このことを重く受けとめ国政にあたらなければなりません。
 長年にわたり与党の座にあった論客揃いの自民党。建設的野党といい始めた共産党。臨時国会では正面から議論を戦わすことになります。厳しい戦いになりますが、国家国民のために私も衆院内閣委員長としての責務をしっかりと果たしていきます。

 

●責任政党としての自覚を

 鳩山内閣が誕生して1カ月余りが経ち、内政、外交ともに順調なすべり出しとなっています。外交で総理は訪中、訪韓し、首脳会議で総理が掲げる東アジア共同体を将来の目標として3カ国が共有するなど、成果を上げての帰国となりました。また、内政については約束通り税金のムダ遣いを無くすことを前提として役人丸投げの官僚依存政治を改める動きを加速させています。
 国家戦略室では政策の基本を今までの事務次官会議を廃止して官僚主導から官邸主導で決めていきます。
 基本政策閣僚会議では予算編成のあり方を全面的に見直し、ゼロからスタート。
 行政刷新会議では掛け声とは裏腹に、今までほとんどチェックされなかった天下り問題、特殊、公益法人などの税金のムダ遣いをあぶり出していきます。
 例えば国交省の関連では必要性が低いのに資格制度をつくりだし、取得のための講習会を行うなど、そこで得た収入は国に入らず関連法人が潤う仕組みをつくりだしてきました。
 このように役人が優越的な地位を利用し、独占的な仕組みの中で天下り先を太らせてきたのです。絶対にやめさせていかなければなりません。

 

●補正予算のムダを削減 

 自民党が組んだムダが多い14兆7000億円余の補正は、本来ならすべてを執行停止にしなければならないところです。しかし、既に民間に発注されたもの、地方自治体で議決され実行に移されるものなどをストップさせるのは困難です。残された予算の中で総理の指示のもと担当閣僚がどれだけ削減できるか、目標の3兆円に向けて努力を続けています。
 削減した予算は子ども手当、母子加算復活、後期高齢者医療制度への手当など、国民との公約である暮らしと命のための福祉、社会保障関係に振り向け、また内需を刺激し、日本の経済に貢献できる予算として使っていきます。
 景気の悪化に早急な取り組みが必要な今、ムダの削減と予算の付け替えが結果的に景気対策につながっていきます。自民党政権ではできなかった思い切った手立てを執っていくべきなのです。

  

●ダム事業中止で甦る国土

 政府は全国143あるダム事業の見直しを発表しました。ダムには利水、治水の役目があり、特にダムの事業計画は30年も40年も前にできた長期計画が当たり前。造ることが目的化し現状と合わなくなったものが少なくありません。今ではペットボトルに入った飲み水用のミネラルウオーターが愛飲される時代。ビール、ジュースよりも高いのに、それでも年々消費量が増えています。八ツ場ダムについていえば飲み水など、当初の利水計画が2割弱も減っているのです。
 ダム湖にたまる土砂も大量で、ダムがある限り維持・管理費は延々と続いていきます。また、ダムで水をせき止めなければ土砂は川を自然に流れて海まで達し、海岸の砂となります。その結果、岸辺の侵食を防ぎ、護岸用に置かれる波消しブロックも不用となり、景観を損なうようなこともありません。
 日本は国土の7割が山林です。山林を放置してきたことで山としての機能は低下してしまいました。環境、災害対策上から山林の枝下ろしは欠かせません。山林が甦れば土中に浸透した雨水の保水能力を高めることができ、鉄砲水となって洪水を引き起こすこともなくなります。伐採した枝をバイオ燃料に使う。また手入れをすることで花粉症の被害を防ぐこともできるようになり、さらには山林整備に新たな雇用も生まれてきます。
 ダム事業凍結は一時的に補償が生じても、長期にわたり予算を使い続けるより財政面で健全化していきます。官僚依存の予算編成を廃し、コンクリートの人口ダム構想から、緑の自然ダム構想へと、考え方を切り替えた予算編成が必要なのです。