闘い続ける 前・衆議院議員田中けいしゅう

『改革者』2002年4月号特別インタビュー

21世紀の日本が求める民主社会主義
衆議院議員・民社協会専務理事 田中 慶秋 (役職は当時)

政権交代可能な勢力の「核」としての民社協会

人間主義・合理主義・理想主義に基づいた民主社会主義が、21世紀の日本に最も求められている。政権交代可能な政治勢力を確立させる核として、民社協会ならびに、政策研究・フォーラム21世紀(政研21)の役割は重要だ。

■地方議員の大半は無所属

 1994年、民社党は解党した。解党後、政党レベルで民社系の流れは、新進党(1997年に解党)、新党友愛、そして民主党へと、受け継がれている。
 本来ならば、政党を支える現場は地方であるはずだ。その地方議員は、中央の政党がこのように短いサイクルで変遷するので、大変とまどっている。そして、そのなかで、民社の理念を受けつぐ政党が本当にあるのか、という点で不安を抱いている。だから、大部分の地方議員は、今でも無所属で活動している。
 そのような地方で頑張っている方々を支えるためには何が必要か。それが、この民社協会の役割である。協会本体がしっかりとしなければならないのは当然のことだ。また、民主党の政策や、国会の動きを地方に伝えていくという意味でも、国会議員・地方議員を含めて、この民社協会というものが必要ではないかと思っている。
 民社協会員の多くは、民主党を応援しているが、しかしまだ、どういう政党になっていくのか分からないので、まだ民主党に入党はできない。これが現実だと思う。

■「あり方懇談会」で性格を確認

 そこで21世紀に向けて、民社協会はどのような方向を歩むべきなのか。それを検討するために、平成12年から平成13年にわたり、「あり方懇談会」を継続的に7回開催してきた。その論議の結果、昨年、平成13年度の年次総会で、「あり方懇」最終報告が承認された。最終報告では、民社協会が「いかなる厳しい状況下にあっても、何らかの形で存続していくべきである」という決意を新たにした。そして「民主社会主義の伝統を引き継ぎ、さらに発展するという歴史的使命を担う集団・ネットワーク」であるという牲格づけを確認した。昨年、平成13年の後半には、具体的な存続のあり方について「第二次あり方懇談会」を設置し、検討してきた。
 私たちは、自民党に代わって政権を獲得することを終始一貫、目標としてきた。これは民社党時代からの目標でもある。そのためにも、民社協会は、政権交代可能な政治勢力を確立させる核として、ぜひ残していかなければならない。ましてや、地方議員の大多数は無所属だということでもあり、そういう意味でも、民社協会が団結するパーティー(集団)として必要ではないかと考えている。

■「政策研究・フォーラム21世紀」が結成

 実は、中央レベルでの民社協会の姿や、顔が見えないという声が出ていたことは確かだ。そういうこともあって、1年前から、民社協会としても、何か具体的に、外から見える活動をしていかなくてはならないということで、検討を進めてきた。
 民主党を中心に、自由党などにも、民社協会・友愛連絡会の推薦を得て当選してきた国会議員が多数いる。その方々に対して、単に選挙の時に推薦するだけで、それでお付き合いが終わりなどということは、ある意味ではおかしいともいえる。そのような国会議員がしっかりまとまって、民主党のなかで、かねて民社党時代から主張してきた民主社会主義や、あるいは今当面する問題としての、外交・安全保障についての理論武装が必要ではないかとの考えから、「政研21」の立ち上げが決定した。
 基本的な問題について、曖昧にしておくから国民がわからない。
 例えば、昨年9月11日に米国で同時多発テロが発生した。テロとの闘いという国際的テーマに対応するために、テロ特別措置法ができた。民主党は審議のなかで、国会の事前承認を求めた。しかし、これは事後報告ということで、問題は積み残されたが、基本的には特措法案自体には賛成だったわけだ。それは何故かというと、一国平和主義の時代は終わったということだ。外交や安全保障における国連中心主義、これは民社党時代からの主張で、忘れてはならないことだと思っている。
 有事法制が、今国会の大きな争点となっている。今の民主党のなかには、旧社会党と自民党の出身者が同居しており、この有事法制1つとっても、党内が二分する話になる。そういうこともあって、デリケートな問題は今まではどちらかというと避けて通ってきた。しかし避けて通ってきた結果、果たして民主党は政権が担えるのかという問題が起こってきた。これを考えたときに、少なくとも、しっかりとまとまって勉強し、理論武装して、政策を提言していくことが必要になってくると思っている。

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