闘い続ける 前・衆議院議員田中けいしゅう

委員会議事録

●予算委員会質疑 平成15年2月12日

○田中(慶)委員 民主党の田中慶秋です。
 私は、まず最初に総務大臣にお伺いしますけれども、小泉総理が、改革なくして成長なしとかいろいろなことを言われているわけであります。そういう中で省庁の再編あるいは行政改革、こういうことで待ったなしという形で、そこで生まれた副大臣あるいは政務官、こういうことの役割がどうなっているのか。
 例えば、このとき省庁再編の中で副大臣、政務官ができるときに、やはりこれからは政治主導でやっていこうじゃないかということで、それぞれの質問取りは政務官、副大臣がやる、こういうことだったわけでありますけれども、現実にはそういうことをされていない。
 まして、この委員会が十日に、月曜日にやるということで、その月曜日がきょうになったわけでありますけれども、この月曜日に、ふだんの日でありますが、政務官、副大臣はだれ一人として職務についていないという、こういうことの実態をあなたはどう考えておられるのか、まず冒頭に聞きたいと思います。

○片山国務大臣 今、田中委員言われましたように、政治主導ということを強く打ち出そうということで副大臣や大臣政務官制度ができたのは御承知のとおりでございまして、やはり各省庁の政策決定、事務の執行等について、私は、副大臣、政務官ができてから大分そういう面は強化された、こういうように思いますし、もう一つは、国会だとかいろいろな各党との連絡調整の先頭に立つ、こういうことは私は副大臣、政務官の仕事だと。それはそれなりに田中委員、御意見があろうと思いますけれども、前よりは進んでいる、私はこう思います。
 ただ、十日は、国会がなかったからということじゃありませんが、各省庁の公式のいろいろな行事や仕事も割に少のうございまして、それぞれ地元でのっぴきならぬ仕事があった、こういうことで副大臣、政務官の登庁が少なかったと思いますけれども、しかし、それをもって制度全体のあり方について云々するのはいかがかなと。
 今後、大いに、田中委員の言われる御趣旨で、私の方も、副大臣、政務官にもそういうことを伝えまして徹底してまいりたい、こういうふうに思っております。

○田中(慶)委員 質問通告は一日半前に、きょうの質問は少なくとも月曜日にと、こういうことになるわけであります。こんなことを含めて、現実に調整役の人たちは、電話してもだれもいないじゃないですか。
 それで、どこへ行っているんだ、地元選挙区に帰っているというんだ。私も政治家だから、それが全部だめとは言いませんけれども、今、予算委員会をやっている最中であります。ましてや、あらゆる問題での危機管理が問われている、経済がどん底になっている、いろいろなところでこれから何とかしていこうというときに、政府の一員である少なくとも副大臣、政務官がそんなことでいいんだろうか。
 やはりこういうことから、全く丸投げと同じでしょう。今まで恐らく、私は、こういうことを国対が今度改めてこれからやっていこう、こんな形で、いつもほとんどの質問取りは副大臣や政務官が来たことなんて一度もない、はっきり申し上げて。こういうことで本当に政治改革ができるのかどうか。もう一度。

○片山国務大臣 十日につきましては、いろいろ地元での用があるという話を聞きまして、私が出るから、副大臣、政務官はどうぞ御地元の用事をと、私のところはそういうふうにいたしましたので、今後は、今の田中委員の御指摘のような趣旨を十分徹底いたしたいと思います。
 国会のこの質問の通告につきましては、副大臣、政務官が、特に政務官が先頭に立って指揮をする、みずから行くんじゃなくて、指揮をとって各担当の諸君に行かせる、こういう仕組みになっておりますので。必要ならばもちろん本人が行ってもよろしゅうございますけれども、指揮をして、各担当の国会の対策室というんですか政府委員室等が対応している、こう思いますが、田中委員の御趣旨は私も十分わかりますので、今後とも、内閣官房の方とも相談しながら、委員の言われる御趣旨の徹底を図ってまいりたい、こう思っております。

○田中(慶)委員 今、行政改革というのは、むだなことをなくす、あるいはスリムになる。一方においては改革を進めて、あらゆるむだなことをやめさせたり、あるいは公務員のスリム化も言っている最中に、片方ではその組織が十分に機能されていないということであっては、私は、そういう指導そのものができなくなってくる、こういうことだと思いますので、やはりその辺はしっかりと、改革を中心としてこれからやっていこうということなんですから、その辺をちゃんとしないといけない、このように思います。
 大臣はこれから徹底するということですから、それ以上申し上げませんけれども、まず模範としてその人たちがやっていかないといけない。名誉職じゃないんですから、はっきり申し上げて。何か名誉職みたいに政務官や副大臣につくと、僕が見てびっくりしたのは、何でもできるようなことをあいさつ状に書いて配ったり、いろいろなことを見て、おお、すごい権限があるものだなと思っているわけですけれども、しかし、やはりそういうことを含めながら。一般の人は何も知らないわけですから。ところが、現実に、本業をしないでそういうことをするということ自体は、やはり政治に対する信頼を失うことでありますから、その辺をしっかりしてください。それだけ申し上げておきます。
 次に、実は、今の政府が経済政策、あるいは諮問会議等で打ち出しておりますけれども、景気の現状について先般来内閣府が打ち出した、発表されました速報値によりますと、四四・四ということでありますから、これまた二カ月連続五〇%を割り込んでいる、大変厳しい環境にある。昨年の暮れも、十月から十二月までGDPがマイナス成長である、こういうことでありますけれども、こういう一連のことを含めながら、我が国の景気の後退は現実にはまだまだ続くであろう、こんな心配をされております。
 この景気現状について、私は、政府の認識は甘いのではないか、何かもう少し厳しくしっかりと対応していかないといけない、このように思っておりますけれども、この辺についての考え方をお伺いします。

○竹中国務大臣 景気の認識に関しましては、決して甘くなることがないように、事実に即して着実に行っていかなければいけないといつも心がけているところでございます。
 今、委員がおっしゃいました四四%というのは、いわゆるDI、景気の現状認識に関する一致指標が四四%で、先般の指標では五〇%を割り込んでいる、そのような御指摘だと思います。十―十二月期のGDPにつきましては、民間の予測値が今発表されておりまして、それは少し低い数字が出ている。これは、まだ政府の正式の統計は出ておりませんので、そういったところをしっかりと見ていきたいというふうに思っております。
 重要な点は、なかなか見通すのは難しいわけでございますけれども、この十四年度に関しましては、我々、ゼロ%というふうに見ていました。一年前、ちょうど民間から政府の見通しは甘いというふうに言われた。民間の見通しではマイナスの見込みだったわけですけれども、我々はゼロというふうに、甘いというふうに言われたわけですが、現実には、昨年の第二・四半期、第三・四半期、それぞれ年率ベースでは三%ないし四%という成長をしましたこともありまして、むしろ政府の見通しよりもさらに少し高い数字に十四年度に関してはなるであろうという見込みを立てております。
 いずれにしましても、甘い、甘くなるというようなことがないように、しっかりと現実に即して見ていきたいというふうに思っております。

○田中(慶)委員 まず、特にことしは、今アメリカによるイラク攻撃が非常にうわさされているわけでありますけれども、これによって日本経済というものが大変大きく左右するだろう。もう既にアメリカの株価も昨日ダウンしている。こういうことを含めて、一喜一憂の問題があろうかと思いますけれども、少なくともそういう問題を考慮に入れて全体的にやはり経済指導をしていかないと、長い今の日本経済そのものがさらに厳しい環境になるだろう、このように思いますけれども、まずこれについてどのように考慮されているのか、お伺いしたいと思います。

○竹中国務大臣 アメリカの、特に湾岸をめぐる不確実状況をどう読むかというのは、まさしく大変難しい問題でございます。基本的には、国際機関も多くの民間予測も、基本シナリオとしては、むしろ二〇〇二年より二〇〇三年の方が景気は上向くというふうにアメリカ、ヨーロッパに関しては見ております。しかし、先生御指摘のように、その中でイラクに関連する不確実な問題がある。
 我々としては、とにかくさまざまな情報を集めて慎重に見ていくということに尽きるのであろうと思いますけれども、アメリカの中でいろいろな予測の幅がありますけれども、我々の経済見通しを立てるに当たりましては、アメリカの予測の幅の中で比較的低いところの予測を前提にして、我々としては慎重に見通したつもりでございます。

○田中(慶)委員 いずれにしても、いろいろなファクターがあると思います。
 ところで、小泉総理がことしの施政方針演説で、構造改革道半ば、こんなことを言いながら、少なくともしばらく時間はかかるということであります。
 ところが、昨年のを見てみますと、昨年は、二〇〇二年は改革は本番である、そして二〇〇三年には成果を得られる、こういうことであります。しかし、現実にはそうなっていない。
 ところが、ことしは、経済政策の中で、この諮問会議初め経済財政中期展望の中で、二〇〇五年以降ということを具体的な指数として言われております。
 ところが、民間の総合研究所、三菱総研を初めとする民間の研究所では、二〇〇八年までずれ込むではないかと言われているわけであります。こういう点では全然トーンダウンしてきておりますし、この先が、ある面では非常に希望が持てなくなってくるのではないか。
 こういう一連のことを含めて、担当大臣としてこれをどう受けとめておられるのか、まずお聞かせをいただきたいと思います。

○竹中国務大臣 今御紹介になりました三菱総研の予測は、特にデフレの克服に関して、デフレ克服には時間がかかるのではないかというような予測を立てているということは承知をしております。
 我々としましては、予想以上に厳しいデフレであるということは認識をしております。であるからこそ四本柱の改革と、さらには政府、日銀が一体となって政策を総動員することによって、二〇〇五年ぐらいにはこれを克服したいというシナリオも立てまして、改革をしっかりと行っていくことを目指しているつもりでございます。
 むしろ、中期的な予測に関しては、三菱総研の予測を御紹介してくださいましたけれども、余りほかに事例が出ておりません。さまざまな観点から、ぜひ御検討を民間の部門にもいただきたいというふうに思っておりますけれども、我々としては、大変厳しい状況にありながら、今申し上げましたような形で、集中調整期間を克服して、ぜひとも経済をその本来持っている安定的な成長軌道に近づけていきたいというふうに思っているところでございます。

○田中(慶)委員 大臣はデフレの問題に触れましたけれども、今の日本における経済環境の中で、少なくともデフレ克服できるような環境ではない。
 まして、全体的な失業者はふえる、そればかりではなくして一方においてはいろいろな増税がされている、あるいは増税が検討されている。こういう形で、税制中立という中で一方においては増税、一方においては減税というのはほんのわずか。思い切った減税をする、こんな考え方も示されていない。そればかりか、例えば、物価がある面では下がっているから年金を下げようとか、そんなことをずっと続けていたならば、少なくとも消費の拡大はできるどころか、全体先行きが、この見通しがはっきり暗くなっているのが現状だと思います。
 ましてや、今の経済環境の中で、デフレそのものに対する基本というものが間違っているんじゃないかな。不良債権の処理だけに力を入れてみたり。本気で思い切った減税をやるとか、あるいは規制改革を、少なくとも規制はゼロに、もう撤廃するとか、発想の転換をして初めてこういうものが克服できるんだろうと思いますけれども、現実にはそうではない。
 例えば、地方自治体になっておりますけれども、固定資産税一つ見ても、土地が下がっていても固定資産税は全然下げていない。こんなことも含めながら、税制の問題も十分検討された中で、総合的にデフレ対策というものをやっていくべきだろうと思いますが、今政府がやっているのは、総合的にやっていない。部分的に、むしろデフレを増長するような考え方でおられるのではないかと思っておりますけれども、その辺について、考え方をお聞かせいただきたいと思います。

○竹中国務大臣 デフレの状況がある意味で予想以上に厳しいということは、先生も御指摘になったとおりでございます。
 また、数字だけ申し上げますと、企業物価の下落率というのは、二〇〇一年にマイナス二・五%ぐらいであったものが、今、下落幅は大体その半分ぐらいになってきている。これは、為替レート、いろいろな要因が関係はいたしますけれども、その意味では、これを解決に向かわしめる非常に重要なチャンスはあるというふうに思っております。
 委員御指摘の、一方で国民に対する負担等々があるではないかということにつきましても、これは我々なりにもしっかりと検討したつもりでございまして、であるからこそ、補正予算と先行減税で、トータルとして財政が経済に対して中立になるような配慮はしたつもりでございます。
 規制撤廃、これは本当に我々が目指すところでございまして、規制の改革を含む四本柱の改革、それに金融政策を合わせた、まさに総合的な、我々としては目いっぱい総合的な政策総動員の体制をとっているつもりでございます。

○田中(慶)委員 いずれにしても、今の経済政策そのものが、やはり国民に多く理解もできないし、わかりにくい状態になっておりますから、少なくともわかりやすい政治を行っていく、まずこういうことを要望しておきたいと思います。
 続いて、実は経済産業の関係でお伺いをしたいと思います。
 私ども民主党として、特に日本の経済、企業関係の中心は中小企業である、こんな観点から、それぞれ議員にお願いをして、昨年の十一月から十二月について、五百十七社についての聞き取り、アンケート調査をさせていただきました。その中で一番多くの皆さん方が困っておられたのは、やはり貸し渋り、貸しはがし、これが八五%、こういう実態であります。
 そして、そういう中で一番驚くべき数字が出たのは、皆さんのお手元にもお配りしておりますけれども、このアンケートの中で、知人あるいは友人やそれぞれの関係者に借金による自殺という問題を一つアンケートの中に入れさせていただきましたが、三〇%の人たちは、何らかの形で自殺をされた人たちを知っている、こういうことであります。それは、どちらかというと、今の借金を苦にしているということであります。こういうことを考えたら、これはやはり政治の責任は重いんじゃないかな、こんなふうに思っております。特に、業種的には、卸売、建設業、流通、製造業という、こんな順番になっております。
 こういう一連のことを含めながら、これを経産省として、前回も私は申し上げました、やはり政府系金融機関で個人保証の問題も、第三者保証、特に外国の例を挙げながら、第三者保証というものは今やめるべきじゃないか。そのことを、少なくともこのデータから見ても、あるいはまた今の環境から見ても、私は、経済産業大臣がそのことを発信することによって政府系金融機関がこれに対応し、そして一般の金融機関もそれに準じて行えるような形になっていけば、その対策はできるんだろうと思いますが、いかがですか。

○平沼国務大臣 田中先生にお答えさせていただきます。
 御党が五百十七社の分析を行われまして、その結果を私ども非常に重く受けとめさせていただいています。私も地元に帰りますと、後援会の中の中小企業者で非常に前途を嘱望されていた若手の経営者が自殺をする、こういうことも現実にありまして、私は、お示しいただいた三〇%というのは、これは決して間違ったデータではない、こういうふうに認識をさせていただいています。
 第三者保証に関するお話でございますけれども、これはもう先生御承知のように、政府系金融機関の中の中小企業金融公庫と商工中金では第三者保証は徴求をしていない、これが一応原則に相なっております。
 しかし、若干詳しく申し上げますと、国民生活金融公庫の中では約四割、これは金額、件数ともにでございますけれども、第三者保証人で保全を行っている事実がございます。しかし、国民金融公庫におきましても、中小企業が担保や保証人を出すことが難しくなっている、これはもう今御指摘のとおりでございました。担保や第三者保証人がなくとも、一千万円までは、〇・七%の上乗せ金利をお支払いいただければ、担保とか第三者保証人がなくても融資できる制度をつくっております。
 それから、信用保証制度について若干詳しく申し上げますと、本人以外の第三者から保証を徴求する可能性があるのは八千万円を限度額とする無担保保証制度でありますけれども、本制度は、平成十二年の十二月二十五日に中小企業庁から通達を発出いたしまして、五千万円までは第三者保証は徴求しない、こういうことにさせていただいております。
 したがいまして、全国の信用保証協会で五千万円超の無担保保証を有する中小企業者のうちどの程度の方が第三者保証人を利用しているか、これは定かな統計はまだございませんけれども、五千万円超の無担保保証を利用しているのは中小企業の方々の中で全体の約一割、こういうことでございまして、大半の方は第三者保証人なしに信用保証を御利用いただいている、こういうふうに考えています。
 したがいまして、そういう中で、今厳しい中小企業者に対して、今申し上げたような形で我々としてもでき得る限りのことはさせていただいているわけでございますけれども、状況が非常に厳しいわけでございまして、今の先生の御意見もしっかりと踏まえて、これからいろいろ政策を考えていかなければならない、このように思っております。

○田中(慶)委員 いずれにしても、これは中小企業庁も少なくとも前向きにいろいろなことを第三者保証問題でもう検討して、大臣がこれを基本的にやろうとすればできる環境になっているわけですから、やはりそのことを含めてやっていかないと、今の中小企業の問題というのは解決できないと思うんです。
 特に、四人から十人ぐらいのところは、国や地方自治体でいろいろな政策を打ち出していても、なかなかそれに対する理解、あるいはまたそれをしっかりと、現実には手間暇がかかるものですから、せっかく制度をつくっても現実にその制度が普及されていない、アンケートでもこれが実態なんです。
 ですから、そういうことを含めて、やはり一番わかりやすい制度を導入していかないと、いつまでたってもこの中小企業の問題、ましてそれが、先ほどの自殺者の問題も含めながらこういう形でつながっているわけでありますから、これは徹底的に、私は制度の問題も、PRすることあるいはまた今のようなことも含めて、第三者保証制度というのがあれば、少なくともこういう自殺者あるいは倒産あるいはまた夜逃げというものが解消できるだろう、全部じゃなくてもそう思っているので、これについてもう少し前向きに答弁をしていただきたいと思います。

○平沼国務大臣 お答えさせていただきます。
 田中先生のおっしゃる意味はよくわかりますし、それから、やはり十人以下あるいは四人以下、こういった零細の企業の方々は、なかなか今るる申し上げた制度があってもそれを御存じない、こういうことがあると思います。
 そういうことで、今までも随分、パンフレット等をつくって、あるいは全国の商工組合の連合会でありますとか商工会議所を通じて、PRはしておりますけれども、しっかりと私ども、PRを徹底させていただいて、皆様方に制度を理解していただくようにさらに努力をしていきたいと思っておりますし、また、先ほどの答弁の繰り返しになりますけれども、御指摘の点はしっかりと踏まえて政策をやっていきたい、このように思っております。

○田中(慶)委員 次に、同じような中小企業の問題でお伺いしたいと思います。これは実例を挙げながらやっていこうかなと思っております。
 例えば、やはり今の中小企業の問題で、先ほど貸し渋り、貸しはがしの問題がありました。みんな一生懸命頑張っておりますけれども、今、政府系の金融機関というものはこういうことがあるんですよ。
 具体的に、自主再建を、会社ぐるみ、労使を含めて、あるいはまた今までの取引先や大手以外の金融機関も自主再建に協力しよう、こういうことなんですね。ところが、都市銀行はそれについて断る。そればかりか、この都市銀行は、会社が知らない間に、事前の話もなく工場を競売に付しておるわけであります。そして、債権がこの例は約十億だったわけですけれども、アメリカの債権回収会社に売却をされる、こういうことで、この十億を三億円で買い取り、こういう交渉をされたようであります。しかし、それでも、いろいろな交渉の結果、最終的には、約十億のものが一億ぐらいで再度このアメリカの会社は話し合いに応じたわけであります。
 なぜかというと、やはりこの会社の実態を調べて、高い技術力を持った企業である、社会的にもまだまだ非常に、この企業は自力でも再建できるとか、生き残りはこの企業としての問題があるということを買った方のアメリカの債権会社が言って、日本の銀行はどういう考え方を持っているんだろう、経済政策やあるいは日本の産業に対する考え方を持っていないんじゃないか。すばらしい技術を持っている、だからという形で、これは組合の人たちも含めていろいろなところにお願いをしながら、やっと再建ができた例であります。
 RCCも全部みんなそんなことを含めて、日本の金融機関や日本のそういう組織が全部、十分の一とか、ひどいところは三十分の一で外国の債権会社に売られている、初めから三十分の一だったら、そういう話し合いに応じれば再建が十分できるものも外国の債権会社に売られている例がたくさん現実にあるということ。こういうことは、やはり金融指導監督庁としておかしいのではないかと思うし、経済のルールとして、経済産業大臣としてこのことをどういうふうに受けとめたらいいのか、これは実態の例ですから、また次々と実例を申し上げますけれども、どのように考えられるのか、お伺いしたいと思います。

○平沼国務大臣 金融機関の関係は竹中大臣からお答えをいただくといたしまして、確かに、技術力があって能力のあるそういった中小企業が整理の対象になる、こういう事例は私は御指摘のとおりあると思っています。
 これは経済財政諮問会議の場でも、実は経済団体の代表の民間の議員であるトヨタ自動車の奥田会長さんから、技術力のあるそういったところに全然金融機関から融資が行っていない、これは一体どういうことなんだ、自分はテレビ番組を見てそういう問題意識を持った、こういう形でちょっと議論がありました。その中で、私は一つの意見として申し上げたのは、今までの日本の金融機関というのは、どちらかというとそういう技術力というよりも担保中心主義で、そして技術力の評価だとか事業の計画の評価というものが乏しかった、そういう形で、能力があって技術力のあるそういった中小企業が、例えば外資に買われてしまう、あるいは倒産のやむなきに至る、こういうことになっているんじゃないか。私はそういう一つの問題点を指摘させていただいたことを鮮明に記憶しています。
 したがいまして、やはり今厳しいこの金融情勢の中で、そういう事例があるということは私は甚だ遺憾だと思っておりまして、私どもとしては政府系金融機関の中でそういったところを少しでも手助けをしなければならないという形で、さきの臨時国会で中小企業信用保険法を改正させていただいて、そして、今全国に六百七十八の金融機関がございますけれども、とりあえずは四百三十三を指定させていただいて、そこもセーフティーネットの対象にさせていただく、こういうこともさせていただきました。それから、これは補正予算でお願いをいたしましたけれども、例えば、今返済にお困りの中小零細企業に対しては、新たな借りかえ制度というのをつくりまして、そして、一生懸命頑張っておられる方々に、一年で返済しなければいけないのを五年というような形で月々の返済を軽減する、こういうこともさせていただいておりますし、また事業計画に着目をして、そして無担保無保証、本人保証なし、そういうふうなこともいろいろやらせていただいています。
 そういったことで、我々は、御指摘の点は確かにあるわけでありますから、そういう中ででき得る限り経済産業省として対応をしていきたい、こういうふうに思っております。

○竹中国務大臣 委員御指摘の個別の事例というのは、詳細ちょっとわからない面もございますのですが、基本的には、銀行に関して言うならば、私はやはり委員御指摘のあったように、日本の銀行、金融機関に大いにさらに変化していただかなければ困るというふうに思っております。
 一般論としてですけれども、日本の銀行は二つの点で変わっていただかなければいけないし、ようやくでありますけれども、その方向にはなりつつあるのかなというふうに思っております。
 よく中小企業で、やる気と能力のある中小企業にというふうに言葉を使いますが、実はこのことはまさに金融機関にも当てはまるわけで、きちっとした中小企業に対して、そこを育てていくというのが結局のところ銀行の利益になるはずなわけでありますから、そういうやはりしっかりとしたマインド、まさにやる気を金融機関に発揮してもらわなきゃいけない。
 もう一つは、先ほど、外資がちゃんと買っていくのに日本のところはうまく対応できないのかと。これはまさにやる気と能力の能力の問題であろうかと思います。
 そういう意味では、最近の銀行は、ようやくではありますけれども、そういった中小企業に対する専担部門を設けたり、ないしは、不良債権の消化というのは大変難しいわけですけれども、そこに外国の銀行のノウハウを活用しながら自分のところでしっかりとやろうというような仕組みをつくったりということでありますので、引き続き我々としても、強力に銀行のやる気と能力の強化を要請していきたいというふうに思っております。

○田中(慶)委員 貸し渋り、貸しはがしという問題は、まず大臣の行政指導にあると思うんです。なぜかというと、貸したくても検査マニュアルやBIS規制、そういうもので貸せないんです、こういうことなんですよ。私は、きょうの質問に際して、信金、信組の理事長さん、会長さんに三人ほど会ってきたんですけれども、そういうふうに言われております。
 ましてや、どうですか、去年だけでも、去年の中小企業向けの融資が目標に対して九兆円も減っているんですよ。あなたが言っていることをやっていたら、こんなことにならないでしょう。まして全部倒産して、いろいろなことを含めて、次から次とBIS規制で、検査で厳しいから貸したくても貸せないんだ、こんなことを言われているんですよ。あなた、言っていることと現実にやっていること、違うんじゃないですか。答弁ください。

○竹中国務大臣 これは何度か答弁をさせていただいたんでございますけれども、マニュアルそのものは、これはリスク管理、信用リスクの管理のものでありまして、基本的には、中小企業、特に零細企業に関しては実態で判断するということを我々も徹底して指導しているつもりであります。そのための周知徹底の努力も行っているつもりであります。
 現実問題として、公的資金を受け入れたところが、中小企業の貸し出しの目標を達成しないで、しかも大幅にこれを下回っている、これはやはり見過ごせない問題であるというふうに私も強く思っております。それを受けて、まだ期の途中でもあるにもかかわらず、御承知のように初めて業務改善の命令を発出いたしました。それに基づいて、厳しく我々もその後の事業のフォローをしていくつもりであります。
 とにかく、中小企業に対する金融というのは大変重要でありますので、その点抜かりのないように、しっかりと引き続き見ていきたいというふうに思っております。

○田中(慶)委員 あなたが厳しく厳しくと言うと、逆に検査やその他の方が厳しくなって、現実には貸し渋り、貸しはがしにつながっていくんですよ。あなたの厳しくというものが、やはりあなたは学者ですからペーパーで、頭で考えるからそうなっているんですけれども、銀行の現場あるいは中小企業の現場というのはそうじゃない。やはりそのことを含めて、しっかりとしないとだめだろう。
 あなたは、この前、悪いけれども、あなたには少なくともペーパードライバーだと申し上げて大変失礼なことを言いましたけれども、現実に実態と合っていないわけですから、そういうことを含めてちゃんとしてもらいたい。まして、期半ばだけでもうということじゃなく、本当にそれぞれの生きた指導というものをやっていかないと、日本の経済はあなたによって逆におかしくなってしまう。そのぐらい、あなたは今注目されているんですから。
 いいですか、今の不景気やこの今の実態はどうしたら一番特効薬があるか、竹中さんがやめることが一番特効薬、こんなことまで言われているんですからね。そのことを、やめるつもりだったら何でもできるでしょうから、しっかりとやってほしい。いや、本当ですよ。そのぐらい言われているんですから。答弁ください。

○竹中国務大臣 しっかりとやれということでございますから、ぜひともしっかりとやらせていただきたいと思います。

○田中(慶)委員 しっかりの意味が違わないようにしてください。
 次に、今、和議の問題もやはり同じような形で、現実には、七十年以上続いた企業が、すばらしい技術やいろいろなことで大変評価をされているわけでありますけれども、この企業の存続に厳しさがあって和議の申し立てを行った。ところが、これも各金融機関がそれを認めていない。こういうことで、最終的には、金融機関によって裁判所が工場や建物の売却を開始された、こういうことであります。
 ところが、これも同じような形で、RCCが企業に対していろいろなことを含めながら努力をされているのではなくして、むしろアメリカの債権買い取り会社にそのまま売ってしまう。こういうことで、何か日本のRCCというものはアメリカに日本の企業を売るためにあるのかなと思うぐらいに大変、日本の経済や日本の産業のことを考えていない、これが非常に最近の例として挙げられているわけでありますけれども、これらについてどう認識され、どう対応しているのか、まずお聞かせをいただきたいと思います。

○竹中国務大臣 和議のお話でございますけれども、和議条件が可決、認可されて、それに従って弁済等の履行がなされている途上においては、例えば金融機関であれRCCであれ、当該債権がどのように移動して売却されたりしましても、その条件に従って債務者より弁済を受ける、これはもう当然のことであろうかと思います。
 ちなみに、和議法は二〇〇〇年の三月をもって廃止されておりますので、今、別の法律体系にはなっておりますけれども、委員のお尋ねは、その後、RCCが総じてその後の再建をきちっとできているのかということであろうかと思います。
 RCCについては、その再建部門の機能を強化するということを引き続き行っておりまして、それに関しては、これはRCCに行くのは破綻懸念先でありますので、なかなか再建が難しいということもありますが、それでもようやく実績は上がりつつあるのではないかなというふうに思っております。この再建のノウハウにつきましても、RCCには次第に蓄積されているというふうに思っておりまして、再建するための学校を開いたり、再建のためのいろいろな関連事業も行いつつあります。
 RCCに関しては、これはやはり特に中小企業についての再建について大変重要な役割を担っておりますので、そのような機能が発揮できるように引き続きしっかりと指導したいし、そのように努力をまたしてもらいたいというふうに思っております。

○平沼国務大臣 RCCの関連でちょっと答弁をさせていただきます。
 創業三十年というのをしにせ、こう言うわけでございますけれども、その三十年以上の倒産というのが、先生御承知のように非常に目立ってきておりまして、大体、中小企業の倒産の二割以上を占める、こういう状況になっています。
 そこで、本当にしにせというのは、地域の文化を担い、地域の経済の原動力を担ってくれているところでございますから、私どもとしては、RCCの中にも、再建可能性のあるそういうものに対しては、これも昨年改正させていただきました中小企業信用保険法で、セーフティーネットの対象にさせていただきました。
 また、今回、いわゆるRCCの中でも、これまた能力とやる気があるところは、私どもとしてはこれは融資の対象にしよう、こういう形で取り組んだところでございまして、私どもとしては、できる限りそういった政策の金融を通じて、こういう伝統ある中小企業者に対しては努力をしていきたい、こういうふうに思っています。

○田中(慶)委員 いずれにしても、三十年以上、多くの実績を持った企業が大変厳しい環境にあり、まして、RCCに基づいて企業再建しようとしても、難しい環境に逆にされてしまう、これが実態なんです。
 ですから、竹中さんに、大変申しわけないけれども、あなたが実態をちゃんと調べて指導してほしいと言ったのはそういうことなんです。少なくとも、長い間続いた企業活動が、この倒産の中で三十年以上のものが今二〇%以上ということですけれども、大変大きいですよ。そのことが日本のこれからの経済活動にどれだけ影響しているのか、こういうことであります。
 ですから、そのことは、やはり私はある面では政治の責任である、このように思っておりますので、何か人ごとみたいに言っていたのではこれは直らぬと思いますよ、本当に。だから、そのぐらい、この問題については深刻な状態になってきておりますから、人ごとじゃなく、ちゃんとしてほしい、これは要望しておきます。
 次に、これは厚生労働大臣にお聞きしたいのですが、今、経営譲渡という形で営業譲渡がされるわけでありますけれども、営業譲渡というのは、御承知のように、雇用契約そのものが、ある面では法律的に雇用契約を含む権利義務の問題で少なくとも営業譲渡そのものが、従来の会社分割やあるいはまた新会社に対する合併の問題とは別に採用されるわけでありまして、この営業譲渡によって失業者が非常に最近は多い。ある大手の企業がやはり営業譲渡されたために三分の一の従業員になってしまう。しかしこれは法的根拠は、ある面では許されているわけであります。
 こういうことも含めながら、今、一方においては失業者対策をしている等々含めながら、営業譲渡とこの失業対策の問題、これは政府が大きな方針を明確にすることによって改善ができるのだろうと思いますけれども、その辺についてお伺いしたいと思います。

○坂口国務大臣 今、田中議員から御指摘をいただきました営業譲渡の際の労働契約の問題等につきまして、結論から言いますと、今年度中にひとつここを明確な指針を出そうというので、今やっている真っ最中でございます。間もなく結論を出させていただきたいというふうに思っております。
 一番大事なことは、ここに働いております個別の労働者の同意を必要とするということだろうというふうに思っておりまして、特定の承継が行われるそのときの営業譲渡の法的な性格というものを踏まえて、そして私たちも結論を出したいというふうに思っている次第でございます。早く結論を出したいと思っているところでございます。

○田中(慶)委員 大分時間も押し迫っておりますけれども、次、坂口大臣、雇用保険の値上げをされたわけでありますけれども、そういう一連の中で、先般来、我が党の長妻さんからも指摘をされました。保養施設やあるいは関連する施設の中で、勤労者福祉の関係のものが福祉施設として二千七十カ所、独法を含めて、これを今売却されておりますけれども、現実問題として、この施設は今までかかった費用は約四千九百億、そして今回、これが全部売れたとしても恐らく四百億足らず、そうすると、約四千億ほどの損失が出るわけであります。これはあくまでも雇用保険という形で掛けたお金、労使で本当に汗を流して掛けたお金がこのように水泡に帰してしまうわけであります。こういう問題を含めて、どのように対応されているのか。あるいは、事業団から機構に変わって、そして平均賃金が八百六十万円、職員が四千六百人もまだおられる、こういうことであります。
 こういう一連のことを含めながら、この事業団からあるいは開発機構に変わっても、中身は何ら意味がない。そればかりか、この約四千億の損失は、雇用保険に換算すると、一人九十万円とすれば、四十二万人分の失業保険がむだになったことになる。こういう一連のことを考えても、しかし、それに対する責任は何一つとっていない、こういう現実であります。
 まだまだこういう一連のことが次々と、この施設の一覧表の中で、非常に遍在する施設であって、そしてそれが今のような形で無造作に処分をされる。ひどいのは、大体三千万で新築されたものが千五十円で売られる。千五十円ですよ。いや、本当ですよ。それから、売った一覧表がありますけれども、千五十円、あるいは一万五百円とか、こういうことが次々と売られた中で出ているんです。これは本当に雇用保険で掛けた、そしてつくったものが、こういう形で千五十円で売られる根拠なんというのはさっぱりわからないし、あるいはまた、こういう一連のことを含めても大変なことだと私は思っております。
 独法という形の中で、確かに採算性の問題があるんだろうと思いますけれども、しかし、こういうことを含めて、別に大臣に責任あると思うわけじゃないです、これはもう長いこと続いているわけです。ですけれども、これはやはり今の特殊法人、そこに問題があるわけですから、この特殊法人の改革をしない限りいつまでたっても、大臣が一生懸命何かしようとしていても、逆にこういう問題が次々と特殊法人の中には出てきているということ、このことを大臣はどうお考えですか。

○坂口国務大臣 この雇用保険につきましては、御承知のとおり、普通の雇用保険と、それから雇用保険三事業の方と両方あるわけでございますが、今回のこの施設等の問題は雇用保険三事業の方の問題でございまして、そして平成十七年度末までにすべてこの施設等は決着をつける、こういうことはやらないようにしよう、こういうふうに決定されているところでございまして、今鋭意それをそれぞれ決着をつけているところでございます。
 御承知のように、これを建てますときにはかなりな、それなりの金額がかかったことも事実でございますが、土地の方は、これはそれぞれの地方自治体のものをお借りして、その上につくっているわけでございます。
 今、何年かの歳月がたちまして、それを売却しようとしますときには、かなり使ったわけでございますから、その値打ちもかなり下がってきている。そして、その値打ちは下がってきておりますが、それが引き取りをしていただけないということになりますと、そこを取り壊しして地方自治体にお返しをしなきゃならないといったようなことになるわけでございますので、そこは、地方自治体がお引き受けをいただくということになりますと、現在の価額を鑑定していただいて、その値段でお渡しをするということにせざるを得ない。
 そして、地方自治体がこれから継続してそこを御使用いただくということになれば、これからもこの掛金をしていただいている皆さん方も御利用いただくことができるわけでありますから、そこはかなり継続が今後もできるものというふうに思っているわけでございます。
 ただ、雇用保険だけで見ますと、御指摘をいただいたような、それはむだ遣いではないかというような御指摘もあるわけでございます。そこは率直に我々も考えなければなりませんし、そのことを生かして今後この雇用保険運営をやらなければならないと思っているところでございます。

○田中(慶)委員 時間の関係で、この問題は長妻議員にお譲りしますけれども、やはりそれだけではないです。
 これは、はっきり申し上げて責任問題も含めながらやらなきゃいけないし、こういう形できょうまでの経過というものが調査の中でも明らかになっていること、これは大臣の答弁と、まさしく一般国民感情にすればとんでもないことだと思いますよ。三千万でつくったものが千五十円で売られる、こんなばかなことが現実に行われているということを私は明確に指摘しておきたいと思います。
 時間の関係で、その問題については同僚に譲らせていただきます。
 次に、自動車のNOx・PM法についてお伺いをします。
 これが今度施行されることになったわけでありますけれども、これに対する中小企業の事業者は大変な痛手であります。新しい人たちはそれはそれなりに納得するわけでありますけれども、このPM法によって、その業をやめざるを得ない中小企業の運送会社は恐らく約四千社、あるいは個人経営者を含むと約一万社といいますか、そのぐらいの影響が出てきております。そういう中で、失業者は最低約二万人出ると言われている。
 それで、政府は、片方はセーフティーネットを含めて中小企業に対するいろいろなことを努力し、一方においては、こちらでこのように、はっきり申し上げて失業を促進するようなことをされている、ちょっとちぐはぐだろうと思います。
 もう一つは、やはり何でもそうでありますけれども、片方で省庁間の連携ミスが、環境省とそれぞれの経済省なり国土交通省なり、全体の連携ミスでこうなっているんだろうと思います。
 まして、これから少なくとも新しく対応する、例えばこの部品をつけようとするとトラックで八十万もかかる、こんな形で、現実にはつけ切れない。まして、その性能は、まだ時半ばということでありますから、結果的に今のNOx・PM法に十分検討し切れていない。ですから、法律だけが先行している。
 まして、そればかりじゃありません。国と地方自治体、ギャップがあるわけです。ということは、特に東京、神奈川、千葉、埼玉というところは上乗せ基準をつけておりますから、もういや応なし、こういう形で一刀両断にされているわけであります。
 それぞれ関係省庁がこれらに対して、私は、時限立法で、もう少し再検討しながら、失業対策やあらゆることを含めてやっていく必要があるだろう、このように思いますけれども、それぞれの担当、失業の問題や景気の問題等々含めて、あるいは延期の問題を含めて十分対応しているのかどうか、答弁をいただきたいと思います。

○鈴木国務大臣 自動車を原因といたします大気環境汚染でございますけれども、これにつきましては、自動車の排気ガス自体を規制するいわゆる単体規制という問題、それから低公害車の導入、こういったことでやっているわけでありますが、しかし、大都市圏におきましては大気汚染の状況は大変厳しいものがございます。
 大都市部において、二酸化窒素、それから粒子状物質、これの環境基準をクリアするためには、環境省としては、NOx・PM法に基づく車種規制というものの導入が不可欠である、そのように考えております。
 それで、車種規制の対象となるトラックの台数でありますけれども、平成十四年十月の段階、これは車種規制の施行時点でありますけれども、全国で約三百十万台ございます。このうち排出基準に適合するものが九十万台ございますので、その差であります二百二十万台が原則として九年たった時点で使用できなくなる、こういうことであります。
 これに対して、大変事業者にも影響があるという御指摘でございますけれども、この車種規制の結果として、車が使用できなくなる時期の設定、これが一番影響があると思うのでありますが、これにつきましては、関係団体の意見も幅広くお聞きした上で、周知期間あるいは準備期間というようなものを設けまして、既に期限が到来している車などにつきましても最長で三・五年にわたります猶予期間を設定しておりまして、中小企業を含めた事業者ができるだけ対応しやすいよう十分な配慮をしているつもりであります。
 あわせて、車の買いかえ、事業者の負担軽減のための自動車取得税の軽減などの税制上の優遇措置、あるいは政府系金融機関による低利融資の措置、こういうものを講じているところでございますが、こうした事業者に対するこういう十分な配慮、これにつきましては今後とも各省と連携を図って、NOx・PM法の円滑な施行に努めてまいりたいと思っております。

○扇国務大臣 今、田中議員が御質問になりましたように、重ならないように答弁させていただきたいと思います。
 国土交通省としては、少なくとも、今おっしゃったように、十トン、そういうものに対してのDPFの装置では約百万円程度、そしてなおかつ酸化触媒のこれは装置の大きさによりますけれども、四十万円程度、これはおっしゃったとおりでございます。国土交通省としては三つ対策をとっております。
 まずその一つは、少なくとも、最新の排出ガスの規制適合車に対しての代替促進に関します優遇税制。これは、自動車の取得税について、本来は三%のものを〇・七%から一・八%にこれを軽減しております。それから、低PM認定車に対する優遇税制、これも、自動車の取得に関しては本来三%の税制を一・五%に軽減しております。それがまず第一でございます。
 二つ目には、中小企業への公庫の低利融資。これはあっせんしております。
 三つ目には、低公害車に係る補助、あるいは特定財源を活用したDPFのディーゼル微粒子の除去装置に関する補助、これもいたしておりますので、少なくとも、NOxとPM法に関しては、国土交通省として、今、他省庁と重ならないように、我が省としてはそれだけの対策をとっております。

○平沼国務大臣 お答えさせていただきます。
 中小企業の低利融資あるいは税制上の措置については既にお答えがございました。
 御指摘のように、やはり関係省庁がしっかりと連携をとって、そして中小企業の運送業者の皆様方が円滑に法律に適合できるように、最大限私どもは努力をしていかなきゃいけない、このように思っております。

○田中(慶)委員 少なくとも、新車を購入する段階でのいろいろな優遇措置、税制措置、いろいろあるわけですけれども、今の経済環境やいろいろなことを含めて、新車を購入するような状態になっていない。
 もう一つは、自動車がそれぞれ性能が伸びて、もう平均して十年以上使えるような問題でありますから、やはり経過措置として、こういう一連のことはもう少しきめ細かく対応すべきだろうと思う、はっきり申し上げて。結果的に、それが失業対策とかあらゆる倒産防止とか、こういうことにつながってくるんですから。
 今、一方的にペーパーの上で述べられている新車購入という前提じゃなくして、もう大体約百三十万ぐらいの対象の車がある。そして、それぞれがいろいろな対応をしている。国のいろいろな形での対応も、それは十分わかっておりますけれども、それではもう現実には救うことはできない。結果として二万人ぐらいの失業者が出るということでありますから、十分そういうことを含めて、これから省庁間の連携をとって、これは大変厳しいことでありますから、このことに十分対応できるようにしていただきたいということを要望して、終わります。

衆議院ホームページより転載